食物アレルギーとアナフィラキシー
食物を摂取することで何らかの症状をきたす疾患を食物アレルギー といいます。重症度は患者さんによって様々で、 一般的にはじんましんなどの皮膚症状を生じることが有名ですが、 皮膚以外に症状を生じる「アナフィラキシー」 という状態を伴う場合は生命に直結することがあり、厳重な食事制限が必要です。
食事制限を行う判断法
食事制限は必要な場合と不要な場合があります。 おおむね以下のパターンで検討いたします。
(a)アナフィラキシーを伴う場合
アナフィラキシーは生命の危険を伴いますので、制限は必須です。
(b)食事を摂取した後20~30分以内に症状が出現する場合( 即時型)
即時型はアナフィラキシーを伴う可能性が高いですが、 軽症の場合や再現性がない場合は制限のメリット/ デメリットを考慮して検討します。
(c)アトピー性皮膚炎で、 特定の食物を摂取したあとで明らかに増悪し、 コントロール困難な場合
アトピー性皮膚炎が外用剤での治療が難しく、 また特定の食物で明らかに悪化するようであれば、やむなく制限 を勧めます。しかし原則は外用剤治療が原則ですので、 不要な制限は避けます。基本的には食事制限を行う前に一度「 除去試験」を行います。 除去試験は原因と思われる食物を一時的に中止して、 アトピー性皮膚炎が改善するかを確認します。 この試験で改善を認めれば「除去試験 陽性」と判断し、食事制限を行います。 アトピー性皮膚炎の改善を待って、再び摂取を試みます。
エピペンについて
アナフィラキシーを伴い、誤食(原因食物を誤って食べること) が起こりうる場合は、 緊急時に備えてアドレナリン自己注射を処方いたします。体重が15kg以上のお子さんが対象となります。